マレーシア印紙税のペナルティ

Posted on 11/02/2026

こんにちは。 

ラッセルベッドフォードの澤柳です。 

マレーシア印紙税ニュースレター第3回をお届けします。 

今回は、実務上もっとも影響の大きいテーマである「印紙税のペナルティと税務調査リスク」について解説します。 

印紙税は金額自体が比較的少額であることも多く、法人税やSSTと比べると軽視されがちです。しかし、期限後の申告や納付、あるいは誤った申告があった場合のペナルティは決して小さくありません。 

まず基本となるのは、スタンピングの期限です。 

マレーシア国内で締結された文書は署名日から30日以内、海外で締結された文書はマレーシア国内に持ち込まれた日から30日以内に申告・納付を行う必要があります。 

この期限を過ぎた場合、遅延期間に応じたペナルティが課されます。 

31日から3か月以内の遅延であれば、RM50または未納税額の10%のいずれか高い方が課されます。 

3か月を超える遅延の場合は、RM100または未納税額の20%のいずれか高い方となります。 

例えば、本来の印紙税がRM5,000であった場合、3か月を超えて申告したときには20%にあたるRM1,000が加算されます。RM100と比較して高い方が適用されるため、このケースではRM1,000がペナルティとなります。 

不動産譲渡や高額ローン契約のように印紙税額そのものが大きい場合には、ペナルティ額も相応に大きくなる点に注意が必要です。 

さらに重要なのは、2026年から段階的に導入されている自己申告制度のもとで、新たなペナルティ体系が明確化されていることです。 

自己申告制度では、課税対象かどうかの判断、税率の適用、課税ベースの算定をすべて納税者自身が行います。 

そのため、単なる遅延だけでなく、申告書の未提出や誤申告に対しても罰則が規定されています。 

自己申告対象文書について申告書を提出しなかった場合、法令上は有罪判決により最高RM10,000の罰金が科される可能性があります。 

実務上は裁判外で処理されるケースの方が多いですが、その場合でもRM200~RM2,000のペナルティが課されます。 

また、税額を過少に申告した場合にはさらに重いリスクがあります。 

有罪となった場合にはRM1,000~RM10,000の罰金が科され、それに加えて未納税額分に相当する追加の罰金が課されます。 

例えば、本来RM50,000の印紙税が必要であったにもかかわらずRM30,000と申告していた場合、不足税額はRM20,000です。 

有罪判決を受けた場合、このケースにおける最大のペナルティの金額は、罰金RM10,000に加え、この不足分の納同額相当の追加ペナルティとなりますので、合計RM30,000となります。 

意図的な過少申告でなくても、解釈の誤りや計算ミスであっても対象となり得る点が、自己申告制度の大きな特徴です。 

さらに、契約書や関連記録を適切に保存していない場合や、税務当局の調査に十分協力しない場合にも、最高RM10,000の罰金が科される可能性があります。 

特に電子契約の場合、マレーシア国内に「持ち込まれた日」の管理や受信記録の保存が曖昧になりがちであり、後日の調査で問題となることがあります。 

実際の税務調査では、印紙税は単独で調査されるというよりも、法人税や移転価格の調査とあわせて確認されることが一般的です。 

親子会社間ローン契約が未スタンプのまま運用されているケースや、海外で締結した契約をマレーシアで使用しているにもかかわらず申告していないケース、NDAや雇用契約を課税対象外と誤認しているケースなどは、指摘を受けやすい論点です。 

IRBには最大5年間遡って監査を行う権限があるため、数年後にまとめて追徴されるリスクも現実的に存在します。 

印紙税の未納は税務上の問題にとどまりません。 

適正にスタンプされていない文書は、裁判手続において証拠として制限を受ける可能性があります。 

担保権の実行や債権回収に支障が生じるケースもあり得ます。特に融資契約や担保関連文書では、印紙税の適正な処理が法的執行可能性に直結します。 

印紙税は一見すると小さな税金ですが、自己申告制度のもとではリスク管理の対象としての重要性が格段に高まっています。 

契約締結時点で印紙税の要否を判定する社内フローの整備、海外契約の持込日の記録管理、グループ内契約の定期的な棚卸し、更新契約や変更契約の再確認、そして電子契約データの保存体制の強化など、実務面での対応が不可欠です。 

移行期間にある今こそ、契約管理と税務管理を連動させる体制を整備することが、将来の大きなリスクを防ぐことにつながります。 

さて、前回のニュースレターでもご案内した印紙税の応用編のセミナーの開催日が迫って参りました。2月23日(月)に14時00分~15時00分に開催する予定ですので是非ご参加下さい。 

ご興味がある方は是非以下フォームよりお申込み下さい。 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

今週も一緒に頑張っていきましょう。 

ja