こんにちは。
ラッセルベッドフォードの澤柳です。
2025年度予算案で発表されていた「雇用・働き方関連の優遇税制」が、2026 年 6 月から 7 月にかけて相次いで官報で公表されました。
いずれも課税年度(YA)2025 から適用されることになります。
今回は、日系企業の経営層・人事総務部門に関わりの深い 3 制度を整理します。
1. フレキシブルワーク導入費用の 50% 追加控除
根拠法令: Income Tax (Deduction for the Costs of Implementation of Flexible Work Arrangements) Rules 2026
在宅勤務や柔軟な勤務スケジュールといったフレキシブルワーク(FWA)を導入する雇用主に対し、適格支出の 50% の追加控除が認められます。
対象となる支出は、
(1) 従業員のトレーニング費用など能力開発(capacity development)に関する費用
(2) ソフトウェアの取得費用
の2つです。
・控除の総額上限:RM500,000
・一度限りの適用
・TalentCorp による認証が必要
・申請期間:2025 年 1 月 1 日〜2027 年 12 月 31 日
リモートワーク基盤やコラボレーションツールへの投資、勤務制度整備に伴う研修などが対象になり得ます。
導入を検討中・実施済みの企業は、TalentCorp 認証の要件・手続を早めに確認しておきましょう。
2. 女性の職場復帰採用に対する 50% 追加控除
根拠法令: Income Tax (Deduction for Employment of Approved Individual) Rules 2026
一定期間離職していた女性(approved individual)を再雇用した雇用主に対し、その者に支払う報酬の 50% の追加控除が認められます。
・控除対象期間:最長 12 か月連続
・TalentCorp による適格性の確認が必要
・適用:YA2025〜YA2027
あわせて、従業員側(本人側)にも別途の措置があり、対象となる女性本人の雇用所得に一定の所得税免除が与えられます(TalentCorp のキャリア・カムバック枠組み。最低月額給与や契約期間などの要件あり)。
つまり「雇う側の法人税」と「復職する本人の個人所得税」の双方にメリットがある構図です。
採用競争力を高める材料として、オファー時に本人側の免除を訴求することもできます。
3. 親・祖父母のケア手当に対する追加控除
根拠法令: Income Tax (Deduction for Payment of Care Allowance of Parents and Grandparents) Rules 2026
従来、雇用主が従業員に支給する育児手当については追加控除・所得税免除の枠組みがありました。
今回、これが 親・養親・祖父母の介護(elderly care)にも拡大されました。
雇用主が従業員に支給する介護手当について追加控除が認められます(従来の育児手当と同様の枠組み)。
従業員側でも、これまで子(12 歳以下)に係る育児手当について適用されていた年間 RM3,000 までの控除が、親・祖父母の介護手当にも拡大されています。
介護と仕事の両立を支える福利厚生を、税務メリットとともに設計できます。
実務上のポイント
YA2025 から適用のため、2025 年中の関連支出は 2026 年の申告で控除を検討できます。まずは 2025 年の該当費用の棚卸しをしていきましょう。
フレキシブルワークと女性復職採用は、いずれも TalentCorp の事前確認・認証が要件です。社内の証憑(規程、契約、支払記録、トレーニング内容)を早めに整えておくと、申請・監査対応がスムーズです。
フレキシブルワーク費用の控除は 一度限り・上限 RM500,000 のため、どの費用をどの年度で計上するか、投資計画とあわせた設計が有効です。
各制度とも適用に細目条件があります。自社での該当性・控除額の確定にあたっては、根拠法令(Federal Legislation Portal)と最新ガイドラインをご確認のうえ、個別にご相談ください。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今週も一緒に頑張っていきましょう。
