第1四半期マレーシア税務アップデート

Posted on 27/03/2026

今回は、2026年1月から3月にかけてのマレーシア税務アップデートについて、重要な3つのテーマに絞って解説いたします。 

直近の実務に直結する内容として、 

①印紙税のVoluntary Disclosure(自主開示制度) 
②建設サービスに関するサービス税ガイド(2026年3月17日アップデート) 
③2025年度個人所得税の申告期限対応 
の3点を取り上げます。 

まず一つ目は、印紙税におけるVoluntary Disclosure(自主開示制度:SVDP 2026)についてです。 

2026年1月1日から6月30日までの6か月間、マレーシア税務当局(IRB)は、印紙税に関する特別自主開示プログラムを実施しています。 

この制度は、過去の未スタンプ文書や未納付案件を整理するための「期間限定のペナルティ免除制度」と位置付けられています。 

本制度の対象となるのは、2023年1月1日から2025年12月31日までに作成された文書であり、①まだスタンプされていない文書、または②申告はしているものの印紙税の支払いが完了していない文書が含まれます。 

これらの文書について、2026年1月1日から6月30日までの間に申告・納付を完了すれば、遅延ペナルティが100%免除されるという非常に強力なインセンティブが設けられています。 

通常、印紙税は以下のような遅延ペナルティが課されます。 

・期限から3か月以内:RM50または税額の10%(いずれか高い方) 

・3か月超:RM100または税額の20%(いずれか高い方) 

この点を踏まえると、本制度を活用することで、過去のコンプライアンスリスクを大幅に低減できることが分かります。 

さらに重要なのは、本制度のもとで適切に開示・納付された文書については、原則として税務調査の対象外となる点です。 

これは企業にとって非常に大きなメリットであり、単なるペナルティ軽減にとどまらず、将来の税務リスクの遮断という意味合いも持ちます。 

一方で、いくつか注意点もあります。 

まず、本制度は不正や虚偽申告を伴うケースには適用されません。 

また、期限である2026年6月30日を1日でも過ぎると、ペナルティ免除は適用されず、通常のペナルティ規定に戻る点にも留意が必要です。 

実務上は、契約書の棚卸しを行い、特に以下のような文書を優先的に確認することが推奨されます。 

例えば、グループ内ローン契約、サービス契約、賃貸契約、雇用契約などは対象となる可能性が高く、未スタンプのまま放置されているケースも多く見受けられます。 

自己申告制度の導入とあわせて考えると、今後は「後から指摘される前に、自ら是正する」という姿勢がより重要になってきており、本制度はその移行期における非常に重要な対応機会といえます。 

二つ目は、2026年3月17日にアップデートされた「建設サービスに関するサービス税ガイド(Guide on Construction Work Services)」についてです。 

建設業に関連するサービス税の取り扱いは従来から複雑であり、今回のガイド改訂により、課税範囲や実務上の取り扱いがより明確化されています。 

このガイドにおいて特に重要なのは、「どの範囲の業務が建設サービスとして課税対象となるのか」という点です。 

一般的な建設工事そのものに加え、設計、改修、保守、プロジェクトマネジメントなど、建設に付随する幅広いサービスが対象となり得ます。 

契約上は別立てとなっている業務であっても、実態として建設工事と一体不可分と判断される場合には、まとめて課税対象とされる可能性があります。 

また、課税タイミングや請求方法についても整理が示されています。 

例えば、進行基準で収益認識を行うプロジェクトにおいて、サービス税の課税時点をどのように判断するかは実務上重要な論点です。 

請求書の発行時点や支払受領時点との関係を踏まえ、適切なタイミングで税額を認識・申告する必要があります。 

詳しくは、RMCDのガイドライン(https://mysst.customs.gov.my/IndustryGuides)をご参照ください。 

三つ目は、2025年度個人所得税の納税申告期限が近づいている点です。 

マレーシアでは、個人所得税の申告期限は、雇用所得者(Form BE)の場合は毎年4月末とされています。 

期限が近づく中で、改めて実務上の対応を確認しておくことが重要です。 

まず、個人所得税の申告を進めていく最初のステップとして、会社から従業員個人へ発行されるEAフォームの内容確認が基本となります。 

給与、ボーナス、福利厚生などが正しく反映されているかを確認する必要があります。 

また、駐在員の場合には、居住者・非居住者の判定や、租税条約の適用可否も重要なポイントとなります。 

さらに、各種控除(保険料、教育費、医療費など)の適用漏れがないかもチェックが必要です。 

駐在員の場合、マレーシアの個人所得税は全て会社が負担しているケースが多いですが、法人所得税と同様に個人所得税でも多くの控除が受けられるということをあまり把握されていない会社が多いように思います。 

駐在員が多ければ多いほど、会社負担の個人所得税額も大きくなることから、経費削減の観点からもどのような控除が適用可能か、今一度確認しておきましょう。 

近年は電子申告(e-Filing)が主流となっており、期限間際になるとシステムが混雑することもあるため、早めの対応が推奨されます。 

また、申告内容に誤りがあった場合には、後日修正申告が必要となる可能性があり、場合によってはペナルティが発生することもあるため、初回申告時点での正確性が重要です。 

さて、来月『意外と知らないマレーシア税務のポイント』セミナーの開催が決定しました。4月23日(木)に14時00分~15時00分にオンラインにて開催する予定です。 

ご興味がある方は是非以下フォームよりお申込み下さい。 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

今週も一緒に頑張っていきましょう。