キャピタルゲイン税(CGT)ガイドラインが改訂されました

Posted on 05/10/2026

こんにちは。 

ラッセルベッドフォードの澤柳です。 

内国歳入庁(LHDN)は、非上場株式に係るキャピタルゲイン税(CGT)のガイドライン「Guidelines on Capital Gains Tax for Unlisted Shares」の改訂版を公表しました。 

新ガイドラインは2026年9月21日付で、2025年7月21日付の旧ガイドラインに置き換わります。 

今回の改訂は、2026年1月1日から施行されている法改正をガイドラインに反映させることが主な目的です。 

根拠となるFinance Act 2025は2025年12月31日に官報公示され、2026年1月1日に発効しました。 

旧ガイドラインはこの法改正の前に作成されたものであるため、今回の改訂でようやく行政解釈が新しい法律に追いついた形です。 

(1)「処分(disposal)」の定義の拡大 

旧ガイドラインでは、処分は合意または法の効力による売却・譲渡等を指し、減資と自己株式の取得を含むものとされていました。 

新ガイドラインでは、処分は次の3類型に整理されています。 

・合意または法令に基づく売却・譲渡等 

・会社の解散または清算による権利の消滅 

・減資、株式の転換、株式の償還、自己株式の取得、または資本資産の所有の終了 

これにより、会社の清算・解散、優先株の償還、株式の転換といった、第三者への売却を伴わない資本取引もCGTの対象となることが、ガイドライン上も明確になりました。 

(2)ノミニー(名義人)による保有の取扱いを新設 

改正前は、名義株主による処分を扱う個別の規定はありませんでした。 

新ガイドラインでは、ノミニーによる処分は、所得税法76A条1項に基づき実質的所有者(beneficial owner)による処分とみなされます。 

また、実質的所有者からノミニーへの名義移転や、ノミニーから実質的所有者への名義戻しは、76A条2項により処分として扱われません。 

(3)処分日(完了日)の判定基準の追加 

書面による契約がない場合、処分日は「処分の完了日」となります。 

完了日を「所有権の移転日」と「対価全額の受領日」のいずれか早い日とする枠組み自体は、従来から変わっていません。 

今回新たに加わったのは次の2点です。 

・判定基準として、「所有の終了日」と「解散・清算による権利消滅の日」が追加されました。 

・所有権の移転、所有の終了、解散・清算による権利消滅のいずれについても、関連法令上の要件をすべて満たした日を完了日とみなすことが明記されました。 

(4)清算・減資等の詳細は「特別ガイドライン」へ 

新ガイドラインは、清算・解散による権利消滅、減資・転換・償還・自己株式取得等による処分について、処分日の詳細を別途の特別ガイドライン(Special Guidelines)に委ねています。処分価額についても同様です。 

LHDNは昨年末の主要会計団体の共同意見書に対し、こうした取引の処分価額の決定方法はガイドラインで明確化すると回答していました。 

株式転換については、利得も損失も生じない取引として扱い、この点もガイドラインで明確にすると述べていました。 

しかし今回の改訂版本体にはこれらの具体的な説明は含まれていません。 

清算時の計算方法などは、特別ガイドラインとあわせて確認する必要があります。 

今回の改訂で、2026年1月から施行されている法改正の内容がLHDNのガイドラインにも反映されました。一方で、清算や減資の具体的な計算方法は特別ガイドラインに委ねられており、実務上の論点はまだ残っています。 

CGTはもはや「株式を売ったときだけの税金」ではないという前提で、資本取引の検討段階から税務面の確認を組み込むことをお勧めします。 

さらに、非上場株式ガイドラインの改訂から約1週間後、LHDNは国外資本資産の処分益に関するガイドラインの改訂版も公表しました。 

対象は、国外資本資産の処分益のうちマレーシアで受領したものです。今回の改訂版は第2版で、初版は2024年3月27日付でした。 

主な変更点の一つ目は、免税期間の延長です。 

経済実体要件を満たす場合の免税期間が、従来の2026年12月31日までから2030年12月31日までに延長されました。 

経済実体要件とは、マレーシア国内で適切な人数の有資格の従業員を雇用し、適切な額の営業費用を支出していることを指し、この中身は変わっていません。 

二つ目は、費用控除の取扱いです。 

旧版では、取得・処分のためにもっぱら支出した費用(弁護士費用や鑑定費用など)の控除が認められていました。 

改訂版では、マレーシアに持ち込まれた国外所得は純額の所得とされ、受領時に追加の費用控除は認められないこととされています。 

このほか、外国税額控除は課税年度終了後2年以内に請求する必要があることが明記されました。 

マレーシアに地域統括会社や中間持株会社を置き、第三国の子会社株式などを売却して代金をマレーシアに送金する日系グループは、特に影響を受けます。 

免税を受けられるかどうかは、マレーシアでの人員と営業費用の実態に左右されます。 

免税の対象とならない場合は通常の法人税率で課税され、費用控除も受けられません。 

資金をマレーシアに還流させる前に、経済実体要件を満たしているかを確認しておくことをお勧めします。 

さて、2026年10月9日にマレーシア2027年度予算案の発表が予定されております。その予算案の内容を速報ベースで読み解くセミナーを開催することが決定しました。 

10 月22 日(木)14時00分~15時00分に『2027年マレーシア予算案速報セミナー』をオンラインにて開催する予定ですので是非ご参加下さい。 

ご興味がある方は是非以下フォームよりお申込み下さい。  

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

今週も一緒に頑張っていきましょう。