こんにちは。
ラッセルベッドフォードの澤柳です。
前回、財務に関する記事をお送りしたところ多くの経営者の方から
「BSを読むのに苦手意識がある」
「もっと財務に関して勉強したい」
といったメールを頂きました。
しかし、過度に不安に思う必要はありません。
そもそも財務やBSに苦手意識があるのは、実は日本人であれば当然のことなのです。
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、弊社は不定期でセミナーを開催しています。
5月21日はBS第2回目のセミナーですが、第一回目の基本の復習も兼ねていますのでご興味がある方は今からでも遅くはありません。是非参加をしてみて下さい。
少しテクニカルな話になりますが、日本の会計基準は収益費用アプローチをIFRSは資産負債アプローチを採用しています。簡単に言ってしまえば、日本はPLを、IFRSはBSを重要視しています。(マレーシアはIFRSに準拠しています。)
このように財務諸表に対する考え方はそれぞれの国によって異なりますので、PLを読むよりBSを読む方が楽だという日本人の方が少ないのも普通のことなのです。
しかし、近年では日本においてもIFRSとのコンバージェンスが進んできています。つまり会計基準をIFRS寄りに変更しています。この理由は様々ありますが、主な理由は一定期間の業績を正確に計算することよりも、過去、現在、未来の情報を含むBSをより正確に作ることの重要性が認識されるようになったからです。
また、日本だけでなくアメリカなど多くの国でもIFRSとのコンバージェンスが進んできています。このような日本を含む世界の大きな流れとしてBSをもっと重要視する、もしくは重要視しなければいけない環境になりつつあります。
そしてこの令和という新しい時代に変わった今、これまでのPL中心主義的な財務ではなくBSを中心とした財務へ変えることが全ての経営者に求められていると感じます。
BSを中心とした財務の例として例えば、予算作成があります。みなさんは予算を作成するときに何の情報からスタートしますか?
一般的な予算の作成方法は次年度の売上見込みからスタートして費用削減、生産性改善などを検討し、最終的な利益目標を立てます。そしてそこから設備投資や借入金の返済などPLを中心に考えた資金繰りを作成します。
しかし、BSを中心とした財務では順序は逆です。
つまり、将来の理想的なBSの形から逆算して、今年度や来年度に必要な利益を算出します。
当社が手掛けた会社の例ですが、向こう3年間で5億円の借金を返そうとすると3年間の損益のシミュレーションで10億円程度の経常利益が必要になる会社が、BSを改善することによって、向こう3年間で1億円程度の経常利益でも十分に資金が回ることがわかりました。この会社の場合、不要な在庫や不動産を売却し10億円ほどあった借入金残高を5億円程度にまで圧縮すると資金繰りを回せることがあきらかになったのです。
理想的なBSと最低限必要な利益がわかれば、あとはそこから最低限必要な売上や費用を逆算して割り出し、予算PLを作成できます。
この例は極端に感じられるかもしれませんが、PLを中心とした場合とBSを中心とした場合では資金繰り、そして最低限必要な利益の金額にこれほど差が出てしまうのです。
新型コロナウイルスや景気後退といった教訓は私を含め多くの経営者に強い財務体質の重要性を再認識させてくれました。このようなことは、今だけでなく、いずれまた発生します。その時に備えるのは、財務体質、BSの改善です。
時代は刻々と変わっていきます。会社の財務も変わらなければいけません。正しい経営に変えるチャンスでもあるはずです。
5月21日(水)14時~15時に開催するオンラインセミナーに参加を希望される方はまだ間に合いますので、以下フォームより是非お申込み下さい。
今回は『BSから会社を強くしていく(分析編)』です。
今週も一緒に頑張っていきましょう!