こんにちは。
ラッセルベッドフォードの澤柳です。
2026年3月31日、マレーシア王立税関局(JKDM)はGeneral Decision No. 01/2026を発行し、SST(売上税・サービス税)における外貨建て請求書のリンギット(MYR)換算ルールを正式化しました。
マレーシアのSST制度では、外貨建て請求書へのMYR換算額の併記はすでに義務付けられており、e-Invoiceにおいても、2025年9月1日から外貨建て電子インボイスへの換算レート記載が必須化されています。
しかし、「どの為替レートソースを使うべきか」「一度選択したソースをどの期間継続すべきか」については明文化された規定が存在しませんでした。
今回のGeneral Decision No. 01/2026は、この運用上の曖昧さを解消するために発行されたものです。
ルールの具体的な内容
① MYR換算額の併記義務(既存のルール)
SST登録事業者が外貨(USD、JPY、EUR等)で請求書を発行する場合、請求書上に外貨額に加えてMYR換算額も必ず記載しなければなりません。
適用するレートは、役務提供時点または物品販売時点における外貨売りレート(foreign exchange selling rate)でなければなりません。
② 認められる為替レートのソース
認められるレートソースは以下のとおりです。
• Bank Negara Malaysia(BNM)が公表するレート
• BNMに登録された商業銀行(Maybank、CIMBなど)が公表するレート
• 国際的なニュースエージェンシー(Bloomberg、Reuters、Oanda)が公表するレート
• 外国中央銀行(欧州中央銀行(ECB)、ニューヨーク連邦準備銀行(NY Fed)など)が公表するレート
上記以外のソースを使用したい場合は、JKDMの税務政策部門(Tax Policy Branch)に書面で申請し、関税局長(Director General of Customs)の個別承認を得る必要があります。
③ 継続使用義務(新ルール)
選択したレートソースは、当該会計期間末から最低1年間、同じソースを継続して使用しなければなりません。
例えば2026年3月にBNMのレートを選択した場合、少なくとも当該会計期間末から1年間はBNMのレートを使い続ける必要があります。
途中で変更したい場合は、JKDMへの書面申請と承認が必要であり、一度決めたら簡単に変えられないという点が、実務上の大きな留意事項です。
④ 輸入品・輸入役務の特則(新ルール)
物品の輸入については、関税・物品税・売上税の計算に適用する為替レートは、「輸入時点で関税局長が定めた売りレート」を使用します。上記②・③のルールとは別立ての取扱いとなります。
輸入役務については、「役務提供時点のマレーシア市場における売りレート」を適用します。
国外から受けるクラウドサービス、コンサルティング、ライセンス料、グループ内マネジメントフィー等に係るSSTを申告する際に重要な規定です。
⑤ 違反した場合のリスク
規定のレートソースを使用していない場合、SST申告額の算出誤りとみなされ、追徴課税・延滞税・ペナルティが課されるリスクがあります。
また、税務調査における指摘事項となる可能性があります。
本ルールは特に以下のようなケースに影響しますので、皆さんの会社も該当していないか、今一度ご確認ください。
• 日本本社や日本国内の関連会社との取引でJPY建て請求書を発行しているマレーシア法人
• 海外顧客・サプライヤーとの取引でUSD・EUR建て請求書を日常的に発行しているサービス事業者
• ERPシステムや会計システムが自動的に適用する為替レートのソースが未確認の企業
• 輸入役務(クラウドサービス、ソフトウェアライセンス、グループ内マネジメントフィー等)に係るSST申告を行っている企業
今回のルールはSSTの文脈のものですが、e-Invoiceにおける外貨取引の記載方法とも整合性を確認しておくことが重要です。
請求書上で使用するレートがSST申告レートとe-Invoice上の記載と乖離しないよう、社内のプロセスを整理することを推奨します。
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今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今週も一緒に頑張っていきましょう。
