e-インボイス:2026年8月1日よりTIN・BRNの照合検証が開始されます

Posted on 20/07/2026

こんにちは。 

ラッセルベッドフォードの澤柳です。 

マレーシア内国歳入庁(LHDN/HASiL)は、e-インボイス制度において、2026年8月1日より納税者番号(TIN)と事業登録番号(BRN)の組み合わせ検証を導入することを公表しました。 

本件は2026年6月に更新されたMyInvoisSDK1.0のリリースノートで公表されたものです。 

システム上の技術的な変更に見えますが、実務上の影響は「取引先マスタの整備」という地味かつ全社的な作業に及びます。 

8月以降、旧様式の登録番号のままではe-インボイスの検証エラーが発生するおそれがあるため、本ニュースレターにて概要と対応のポイントをご案内いたします。 

1.何が変わるのか 

現行、e-インボイス発行時には買い手のTINの検証が行われていますが、2026年8月1日以降は、TINとBRN(事業登録番号)が「ペア」としてHASiLの登録記録と照合されるようになります。 

検証はValidateTaxpayer’sTINAPIに実装され、TINとBRNの組み合わせがHASiLの記録と一致しない場合はエラー(該当なし・無効)が返される仕様です。 

これまでは、システムに保存された古い様式のBRNでも検証を通過するケースがありましたが、8月1日以降は検証エラーとなり、e-インボイスの発行が滞るリスクがあります。 

TIN自体に変更はなく、「チェックが厳格化される」という変更です。 

LHDNは、本検証の導入にあたり納税者に対して次の対応を求めています。 

(1)MyInvoisSDK(ソフトウェア開発キット)に定める技術要件への準拠 

(2)買い手(取引先)から最新かつ正確なBRN情報を入手すること 

(3)買い手に対し、HASiLに登録されたBRN情報を最新のものに更新するよう促し、取引先から受領するBRNとHASiLの記録との整合を確保すること 

なお、自社が「買い手」となる取引では上記(3)が自社に向けられることになります。 

仕入先が発行するe-インボイスの検証エラーを防ぐため、HASiLに登録されている自社のBRNが最新かどうかも併せてご確認ください。 

2.問題の中心:BRNの様式は一つではない 

対応の前提として押さえておきたいのは、BRNの様式が登録機関ごとに異なるという点です。 

取引先マスタの整備を「全件12桁の数字に揃える」作業と誤解すると、かえって不整合を生みます。 

【SSM登録の事業体(会社・個人事業・LLP等)】 

マレーシア会社委員会(SSM)は2019年10月11日に12桁の新登録番号様式を導入しています(例:202501012345)。構成は以下のとおりです。 

・冒頭4桁:登録年 

・次の2桁:事業体の種類(01=内国会社、02=外国会社、03=個人事業/パートナーシップ、04=内国LLP、05=外国LLP、06=専門職LLP) 

・末尾6桁:SSMが付与する連番 

2019年10月より前に設立された会社にも12桁の新番号が付与済みであり、SSMのe-Search、e-Info、MyData等で確認できます。 

問題は、こうした会社の多くが請求書・契約書・取引先登録フォーム等で旧様式(7桁数字+アルファベット)の登録番号を使い続けている点です。 

ERPや会計ソフトの取引先マスタに旧様式のまま保存されているBRNは、8月1日以降に検証エラーとして表面化する可能性があります。日系企業の現地法人には2019年以前の設立も多く、自社・取引先の双方で確認が必要です。 

【SSM以外の登録機関に属する事業体】 

一方、すべての取引先がSSM登録とは限りません。 

たとえば、団体登録局(ROS)に登録された協会・団体等は「PPM」で始まる別様式の登録番号(例:PPM-001-XX-XXXXXXXX)を有しており、12桁の数字様式は適用されません。 

このほか、サバ州・サラワク州の州登録制度下にある事業者、専門職団体に登録された事業体、区分所有建物の管理委員会(JMB/MC)なども、それぞれの所管機関が発行する様式の登録番号を用います。 

取引先マスタの整備にあたっては、①取引先がどの登録機関に属するかを確認し、②その機関が発行する最新様式の番号を取得する、という二段階で進めることをお勧めします。 

3.実務対応のポイント 

【売り手として(e-インボイスを発行する立場)】 

正確なBRNを取得する責任は売り手側にあります。 

8月1日までに、ERP・POS・会計システム等に保存されている取引先(買い手)マスタを点検し、主要なB2B取引先には最新様式のBRN(SSM登録の会社であれば12桁番号)の確認を依頼することをお勧めします。 

【買い手として】 

HASiLに登録されている自社のBRNが最新かどうかもご確認ください。 

自社が12桁様式へ移行済みでも、HASiL側の記録が更新されていなければ、仕入先が発行するe-インボイスが検証エラーとなる可能性があります。 

【自社BRNの確認・更新手順】 

(1)MyTaxポータル(mytax.hasil.gov.my)にログインし、自社TINに紐づくBRNを確認 

(2)旧情報の場合は、TINと登録証書(RegistrationCertificate)一式を準備のうえ、HASiLCustomerFeedbackForm(maklumbalaspelanggan.hasil.gov.my)の「UpdateTaxpayerDetails」から更新申請 

(3)自社システムの取引先マスタを各登録機関の最新様式のBRNに更新し、8月1日までに主要取引先の再検証を実施 

【API・ミドルウェア連携をしている場合】 

基幹システムやミドルウェア経由でMyInvoisと連携している場合は、8月1日以降の検証仕様への対応状況をベンダーにご確認ください。 

なお、HASiLは本APIの検証結果をERP側でキャッシュ(保存)し、過剰な照会を避けるよう案内しています。 

また、e-インボイスの導入猶予(RelaxationPeriod)の適用を受けている企業であっても、e-インボイスを発行する限り本検証の対象となる点にご留意ください。 

本件は「登録番号の様式確認」という一見小さな論点ですが、対応を怠るとe-インボイス発行の停止という形で請求業務に直接影響します。 

8月1日の開始まで期間が限られていますので、お早めに自社BRNの確認と取引先マスタの点検に着手されることをお勧めします。 

さて、AbeamConsultingさんとの対面式合同セミナーの開催日が今週に迫って参りました。7月23日(木)14時30分~16時30分、JACTIM会議室にて開催予定です。 

お申込み期限を7月22日(水)まで延長しましたので、ご興味がある方は是非以下フォームよりお早めにお申込み下さい。 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

今週も一緒に頑張っていきましょう。